皆さん、こんにちは。松戸駅前みやた皮膚科クリニック院長の宮田です。今回は糖尿病と足の関係についてお話し、足を健康に保つ対策についてもお話ししたいと思います。糖尿病は、高血糖状態が持続することで様々な合併症を引き起こす病気ですが、その中でも足に関する問題は非常に重要です。なぜなら、糖尿病患者様の中で足の問トラブルが進行することで、最悪の場合には足の切断が必要になることがあるからです。

足のトラブルとは?

糖尿病患者様の中で足に起こるトラブルは、主に以下のようなものがあります。

神経障害(神経症状): 高血糖が神経にダメージを与え、足の感覚や動きに障害を引き起こすことがあります。足のしびれや痛み、感覚の低下などが現れることがあります。

循環障害: 高血糖が血管を傷つけ、足の血流が悪くなることがあります。これによって、足に十分な酸素や栄養が行き届かず、傷の治癒が遅くなる可能性があります。

細菌感染症: 神経や血管の障害により、足の皮膚や爪の健康が損なわれ、細菌感染症が起こりやすくなります。小さな傷、魚の目、爪水虫などが、重症の細菌感染症を引き起こすこともあります。

これらの問題が進行すると、最悪の場合には足の切断が必要になることがあります。しかし、幸いなことに、適切なケアや予防策を取ることで、足の問題を防ぐことができる場合も多くあると考えられます。

足のトラブルを防ぐために

以下に、糖尿病患者の皆さんが足の健康を保つために考慮すべきポイントをいくつかご紹介します。

定期的な受診: 糖尿病患者様は定期的に医師の診察を受け、採血や検尿検査はもちろん、眼科受診などの合併症の診察も受けることが大切です。血糖コントロールは言うに及ばず、併発しやすい高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、脳梗塞、腎疾患、糖尿病性網膜症などの治療や早期発見は極めて大事です。また、足の感覚や足の皮膚の異常をたびたび確認するのが大切です。最低でも、ご自身で毎日寝る前に足の皮膚を目で確認してください。少しでも異常があれば、皮膚科や主治医の医師にお尋ねください。決して大げさにお話している訳ではありません。

足の清潔: 毎日足を洗い、乾燥させることで感染症のリスクを減少させることができます。乾燥しすぎて角質がひび割れている場合は、保湿も必要になります。爪も短すぎないよう適切に切り、傷ができた場合は清潔に保つよう心がけましょう。年配の方で爪が満足に切れない場合や爪の変形がひどくて普通の爪切りで切れない場合は、皮膚科で爪を切ってもらいましょう。前述しましたが、足をご自分の目で見て、小さい傷、赤い腫れ、爪変形、魚の目などがあるかどうかを毎日チェックしましょう。

適切な靴の選択: 足に合った靴を選ぶことも重要です。狭すぎず、大きすぎず、適切なサイズや形の靴を選びましょう。シューフィッターのいらっしゃる靴屋さんで相談されるのもよいかもしれません。外反母趾などの骨の異常がある場合は、整形外科の医師に相談しましょう。

血糖管理: 血糖値を適切に管理することが、神経や血管の健康を保つために欠かせません。内科医師の指示に従って食事や薬の摂取を行いましょう。

糖尿病と足の関係は深く、適切なケアが欠かせないことがわかります。皆さんも日々の生活の中で、足の健康を大切にし、定期的な検診や予防策を実践して、足の問題を未然に防ぐ努力をしていきましょう。何か質問があれば、いつでもご相談ください。なるべく長期間、健康な足で快適な日々を送るために、私たち皮膚科医師が少しでもお役に立てればうれしいです。

2023/8/10