こんにちは、皆さん。松戸駅前みやた皮膚科クリニック院長の宮田です。今回は、夏に増える可能性がある皮膚のトラブル、帯状疱疹についてお話ししたいと思います。また、その予防手段としての帯状疱疹ワクチンについてもご紹介します。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘ウイルス(Varicella-zoster virus)が再活性化することによって引き起こされるウイルス感染症です。子供のころなどに一度水痘にかかったことがある人は、ウイルスが休眠状態にありますが、何らかのきっかけで再び体内で再活性化し、帯状疱疹を発症することがあります。左右のどちらか片側だけに帯状に水疱や発赤が出現するという特徴的な発疹と痛みを伴います。発疹が出る前に痛みが出る場合もありますし、また、発赤のみの場合、痛みではなくかゆみの場合などいろんな出現の仕方をします。これらの症状があれば、間違っていてもよいので早めに皮膚科で相談しましょう。そして、「帯状疱疹が心配です」と医師に伝えてみましょう。理由は2つです。ひとつは、典型的でない症状の場合、専門医でも見逃すことがあるからです。二つめは、抗ウイルス剤は効果がでるのに2~3日かかるので早期治療が重要だからです。

夏に増える理由

帯状疱疹は夏に増え、冬に減少します。逆に水痘は夏に減り、冬に増えます。このことから、夏に帯状疱疹が増える傾向があるのは、紫外線や気温の影響が関与していると考えられています。紫外線や気温の上昇→水痘(みずぼうそう)ウイルスの感染力が下がる→周囲に水痘の子供たちが少なくなることで、大人の水痘ウイルスに対する自然免疫が強化されない→帯状疱疹ウイルス(=水痘ウイルス)が再活性化されやすい。

こういった理由で夏に帯状疱疹が増えるといわれています。また、免疫力が低下することによっても帯状疱疹の発症リスクが上昇します。免疫力の低下は、ストレスや病気、加齢などによって引き起こされることがあります。夏場には暑さや紫外線の影響によって、体の免疫力が低下する可能性があり、これに伴い帯状疱疹の発症も増えるのかもしれません。

昔より帯状疱疹は増えている?

はい、その通りです。理由は、夏場に帯状疱疹が増える理屈と同じです。水痘ワクチンの2014年10月からの定期接種接種化に伴い、子供の水痘患者が激減し、その結果、大人の水痘ウイルス(=帯状疱疹ウイルス)に対する抵抗力が減るからです。このような疫学的結果を見ると、「感染症予防としてのワクチン」の重要性を改めて実感しました。

参考 https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/2018/08/462tf01.gif

帯状疱疹ワクチンの重要性

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンが有効な手段として注目されています。このワクチンは、再活性化した水痘ウイルスによる帯状疱疹の予防や重症化を防ぐ役割が期待できます。帯状疱疹ワクチンは、免疫系を活性化させることで再活性化したウイルスに対する防御力を高める効果があります。このため、ワクチン接種によって帯状疱疹の発症リスクを減らせる可能性があります。帯状疱疹患者が増加し、特に50歳以上の方は重症化するリスクもあるため、帯状疱疹ワクチン接種が強く推奨されます。なお、18歳以上で帯状疱疹のリスクが高い方や心配な方もワクチン接種が可能です。

ワクチンは、弱毒化生ワクチン(ビゲン)と不活化ワクチン(シングリックス)があります。
ビゲンは安くて1回の接種で済む特徴があります。シングリックスはビゲンより高額で2回の接種が必要ですが、効果はさらに高いという特徴があります。両方とも当院で接種可能です。予約は不要です(火曜終日と金曜午前以外にご来院ください)。

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まとめ

帯状疱疹は夏に増える可能性があり、その原因は気温や紫外線、免疫力の低下にあると考えられています。近年、小児の水痘患者激減に伴い、大人の帯状疱疹患者数の増加や重症化リスクが高くなっており、帯状疱疹ワクチンの接種の重要性が高まっています。帯状疱疹ワクチンは、再活性化したウイルスによる発症に伴うリスクを軽減し、皮膚の健康を守る一助となります。

健康な夏を過ごすためにも、皆さんには帯状疱疹についての正しい知識を持ち、予防策を考えることをおすすめします。ご自身の健康を守るために、医師との相談を通じてワクチン接種の適切なタイミングを検討してみてください。ご質問や疑問があれば、いつでもお気軽にご相談ください。皆さんの健康と安全を願っています。

2023/8/4