こんにちは、今回は「デュピクセント注射薬」についてご紹介します。

効果

デュピクセント(デュピルマブ)注射は、生物学的製剤というジャンルのお薬で、抗体という人の体内にも存在している物質を利用してアトピー性皮膚炎の治療を行います。この抗体が、Tリンパ球という血液の成分に働きかけて効果を発揮します。アトピー性皮膚炎の他に、喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎などの治療に用いられます。

特徴としては、中等度から重症のアトピー性皮膚炎の方に、非常に大きな効果があります。何十年も全身が真っ赤で皮膚がうろこ状に分厚くなっていた患者様が、みるみるツルツル肌になってゆくのを見ると、いつも驚かされます。患者様から時々「こんなに良くなったのは久しぶりだ」とおっしゃられると、デュピクセントをお勧めしてよかったなあと毎回感じます。

薬剤費

ただ、いいことばかりではありません。
一番の欠点は、薬剤費が高いことです。3割負担で、初回35,265円、2回目以降1回分17,633円の薬剤費がかかります。月2回注射を打つので、毎月17,633円×2=35,266円の薬剤費がかかります。ただ、自宅で注射していただければ、高額療養費制度を利用してさらに安くすることができるかもしれません。
例 年収が370万~770万の世帯の場合 1回分17,633円→約13,500円。直近12ヵ月以内に3回以上高額療養費制度の適用を受けた場合(多数回該当)、4回目以降の月の自己負担の上限額がさらに引き下げられます。上記の例だと早ければ、10ヶ月目より1回分が7400円程度になります。
医療費について詳しくは、デュピクセントのメーカーHPで薬剤費の説明があります。「YES」をクリックしてください。

副作用

副作用は、不思議と目が赤くかゆくなることがありますが、大きな副作用はあまりありません。なお、顔への効果が弱い場合があるのが欠点で、この対応としては、外用薬の活用やJAK阻害剤内服に切り替える場合もあります。

リンヴォックなどのJAK阻害剤内服と生物学的製剤のどちらを使用するかを悩まれる患者様もいらっしゃると思いますが、個人的には、免疫抑制などの副作用が少ないデュピクセントをまずは推薦いたします。なお、かゆみが強いわりに発疹が強くない患者様には、ミチーガという生物学的製剤の注射剤がおススメです。かゆみを迅速に抑える効果に優れています。

まとめ

重症のアトピー性皮膚炎の患者様へ一番お話ししたいのは、「値段は高いが、デュピクセントは試してみる価値がある薬剤」ということです!

デュピクセントについて詳しくはこちらもご覧ください

アトピー性皮膚炎の新しい薬剤(注射・内服)

2023/5/26