掌蹠膿疱症とは?

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひらや足の裏に、膿をもった小さなブツブツ(膿疱)、赤み、皮むけ、ひび割れを繰り返す慢性の皮膚病です。

「水虫かな?」
「手荒れがひどいだけ?」
と思われることも多いのですが、実はまったく別の病気です。

症状が長引きやすく、日常生活にかなり支障が出ることがあります。
・歩くと痛い
・手がしみる
・皮がむけて見た目が気になる
何件も皮膚科に通ってもよくならない

こうした方も少なくありません。
また、一部の方では関節や骨の痛み(掌蹠膿疱症性骨関節炎)を伴うことがあります。
特に胸の中央〜鎖骨あたりの痛み
が有名です。 ただし、きちんと治療することで改善できる病気です

どんな症状がでますか?

典型的には手のひらや足の裏に
・小さな水ぶくれ
・膿をもったブツブツ
・赤み
・皮むけ
・ひび割れ
・かゆみ
・痛み
が出ます。
症状はよくなる → また悪くなるを繰り返しやすいのが特徴です。

足の裏では、
・歩くと痛い
・ひび割れてつらい

手のひらでは
・物を持つと痛い
・手洗いでしみる
ことがあります。

原因

実は、原因はまだ完全にはわかっていません。
ただし、関係があると考えられているものがあります。
・喫煙
・金属アレルギー(歯の詰め物、インプラントなど)
・病巣感染:扁桃炎、歯周病、副鼻腔炎など
特に喫煙は非常に重要です。掌蹠膿疱症の患者さんでは喫煙者が多く、禁煙で改善することがあります。

病巣感染とは

体のどこかにある慢性的な感染や炎症(扁桃炎、歯周病、副鼻腔炎など)が、免疫反応を介して以下の病気を誘発・悪化させることがあります。
掌蹠膿疱症
IgA腎症
関節炎(病巣感染関連関節炎)
結節性紅斑
・一部の血管炎
・まれに慢性蕁麻疹
この場合、それぞれの病巣感染を治療することで上記の病気が改善する可能性があります。

扁桃病巣感染とは

扁桃病巣感染とは、扁桃の慢性的な炎症が、免疫反応を介して離れた部位の病気(例:掌蹠膿疱症、IgA腎症など)を引き起こしたり悪化させたりする状態です。
疑う症状
のどの痛みや扁桃炎を繰り返す
発熱を繰り返す
のどの症状と連動して皮膚症状や関節痛が悪化する

診断の流れ
耳鼻科で扁桃の慢性炎症を評価し、他の病巣(歯科・副鼻腔など)も確認します。
扁桃病巣感染を疑う場合でも、血液検査だけで確定はできません。

治療
抗菌薬などで感染のコントロール
慢性的に関与が強く疑われる場合は 扁桃摘出術

確定
扁桃の治療後に関連する症状が改善することで、扁桃病巣感染だった可能性が高いと判断します。

手湿疹・水虫との違い

よく間違われます。

手湿疹
手湿疹は
・赤み
・かゆみ
・ジュクジュク
・洗剤や手洗いで悪化
が多いです。

掌蹠膿疱症は
膿疱(膿のプツプツ)
が特徴です。
水虫
水虫でも
・皮むけ
・かゆみ
が出るため紛らわしいです。
ただし治療はまったく違います。
必要なら顕微鏡検査をします。
異汗性湿疹(汗疱)
小さな水ぶくれが似ます。
ただし掌蹠膿疱症は
・膿疱
・慢性化
・強い角化
が特徴です。

検査

必要に応じて行います。
・顕微鏡検査(水虫)
・金属パッチテスト
・採血
・画像検査(関節症状ある場合)
・生検(確定診断ができる)

歯科金属アレルギーが疑わしい場合は金属パッチテストを検討します。(予約制)

治療

外用治療

基本治療です。
・ステロイド外用
・活性型ビタミンD3外用
炎症を抑えながら皮膚の状態を整えます。

光線治療

掌蹠膿疱症で非常に有効な治療です。
当院ではエキシマライトによる治療を行っています。
保険適応で、1回3割負担で1,000円程度です。

エキシマライトとは?

エキシマライト(ナローバンドUVB)

掌蹠膿疱症は、塗り薬だけでは治りにくいことがよくあります。
特に以下のような症状の方です。
・分厚い
・繰り返す
・足の裏が痛い
・ひび割れる
・外用で限界
エキシマライトは、患部にピンポイントで高出力の紫外線を当てる治療です。
メリット
・痛くない
・数分で終わる
・保険適応
・手足だけ狙える
・ステロイドを減らせる
・難治例に効きやすい
「もっと早くやればよかった」と言われることも多い治療です

オテズラ(当院処方可能)

治りにくい方の選択肢です。

オテズラ(アプレミラスト)は、炎症を引き起こす免疫の働きを調整する飲み薬です。
こんな方に向いています。
・外用だけでは改善しない
・光線治療でも不十分
・繰り返す
・通院頻度を減らしたい

メリット
・飲み薬
・ステロイドではない
・採血管理が比較的少ない
・期管理しやすい

副作用
・下痢
・吐き気
・頭痛
・食欲低下
など。
当院で処方可能です。

重症例の治療(生物学的製剤)

重症例では注射治療(生物学的製剤)を使うことがあります。
非常に効果が高いことがあります。
ただし
・高価
・適応判断必要
・専門施設管理
のため、当院では処方しておりません。
必要な場合は総合病院をご紹介します。

日常生活で気をつけること

禁煙 超重要です。本気でおすすめします。

うがい 扁桃炎予防。

歯科受診 歯周病の治療や金属アレルギー時の対応。

耳鼻科受診 扁桃炎、副鼻腔炎などによる病巣感染が疑われたとき。

よくある質問

Q. 掌蹠膿疱症はうつりますか
A.うつりません。
「膿(うみ)」という言葉がつくため、感染症と思われることがありますが、掌蹠膿疱症は感染症ではありません。
ご家族への接触、お風呂、プールなどでうつる病気ではありません。


Q. どれくらいで治りますか?
A.個人差があります。
数か月でかなり改善する方もいれば、数年単位でよくなったり悪くなったりを繰り返す方もいます。
比較的長く付き合う病気ですが、適切な治療でコントロールできることが多いです。


Q. 足の裏が痛くて歩くのがつらいです。どうすればいいですか?
A.掌蹠膿疱症では、ひび割れや角質の肥厚によって歩行時の痛みが強くなることがあります。
外用治療だけでなく、光線治療や内服治療を組み合わせることで改善することがあります。
「歩くのがつらい」は治療強化のサインです。


Q. 胸や鎖骨のあたりが痛いのですが関係ありますか?
A.関係する可能性があります。
掌蹠膿疱症では、掌蹠膿疱症性骨関節炎を合併することがあります。
特に
・胸の中央
・鎖骨のあたり
・背中
・関節
の痛みは要注意です。
必要に応じて専門科と連携します。


Q. 手だけ、足だけでも掌蹠膿疱症ですか?
A.あります。
手だけの方、足だけの方、両方の方がいます。
「足の水虫だと思っていたら掌蹠膿疱症だった」ということもあります。


Q. 仕事は続けられますか?
A.多くの方は続けられます。
ただし、
・歩き仕事
・手作業
・水仕事
・摩擦が多い仕事
では悪化しやすいことがあります。
症状が強い時は治療を強化しながら調整していきます。


Q. ストレスで悪化しますか?
A.はっきりした原因とは言い切れませんが、慢性炎症性疾患では悪化要因になることがあります。
「忙しい時に悪化する」と感じる方もいます。


Q. 温泉やプールに入って大丈夫ですか?
A.基本的には大丈夫です。
感染症ではないため、他人にうつすことはありません
ただし、ひび割れが強い時はしみたり刺激になることがあります。


Q. 子どもにもなりますか?
A.比較的大人に多い病気ですが、まれに若い方でもみられます。


Q. 妊娠中・授乳中でも治療できますか?
A.治療内容によります。
外用薬は比較的使いやすいものもありますが、内服薬は注意が必要なものがあります。
妊娠中・授乳中の方は必ずご相談ください。


Q. 皮膚科を変えたほうがよいのはどんな時ですか?
A.例えば
・ずっと治らない
・診断がはっきりしない
・水虫と言われたが改善しない
・歩くのがつらい
・関節が痛い
場合は、治療方針の見直しが必要なことがあります。


監修 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士 宮田義久