要約
- ニキビは毛穴が詰まり、ニキビ菌が繁殖することで発生
- 放置するとニキビ跡(赤い跡、黒い跡、クレーター)になることもある
- 重症ニキビではいくつものシコリができることもある
- 保険診療でほとんどは治療可能(外用、内服、スキンケア)
- 重症例やしつこいニキビには自費治療が有効(イソトレチノイン、レーザーフェイシャルなど)
どんな病気?
ニキビは病気でしょうか?
はい、ニキビは病気です。なぜならばニキビによって痛みやカユミを感じられたり、見た目で悩まれる方がとてもたくさんいらっしゃるからです。また放置しておくとニキビ跡(あと)になっていまい、何年たっても治らないこともあります。女性はもちろんですが、「ニキビが気になる」と来院される男性患者さまもたくさんいらっしゃいます。
ニキビのできる理由
ニキビは性ホルモンの働きなどにより、毛穴の中の油分が増え、さらに毛穴の出口が詰まることにより始まります。この結果、毛穴の中に皮膚の角質や油分(皮脂)が溜まり続け、ニキビが目に見えるようになります。これが、白ニキビ(毛穴が閉じていて、全体が白っぽく見えるタイプ)、黒ニキビ(毛穴が開いていて、毛穴の汚れが黒く見えるタイプ)の状態です。
ここにニキビ菌などのばい菌が増殖すると、炎症が起こり膿を持ったり、赤く腫れた状態である赤ニキビになります。ニキビの炎症が激しいと、ニキビ自体が皮膚の深いところで壊れて、さらにこの刺激でニキビ周囲の炎症が悪化するという悪循環になります。このまま放置しておくと、いわゆるニキビ跡(あと)といわれる状態になります。赤い跡、シミになった跡、凹んでクレーター状になった跡などです。さらに進行すると嚢腫(よぷよとした柔らかいしこり)、結節(皮膚の深い部分に硬く触れるしこり)
重症ニキビとは
重症ニキビは、皮膚の深部まで炎症が及ぶタイプのニキビを指し、自然に改善することは困難です。次のような症状がある場合は、重症ニキビに該当します。
膿疱(のうほう):膿を持った赤く腫れたニキビが繰り返し多数できる
結節(けっせつ):皮膚の深い部分に硬く触れるしこりができる
嚢腫(のうしゅ):ぷよぷよとした柔らかいしこりが皮膚の下にできる
集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう):ニキビが密集し、炎症が範囲的に広がっている状態。これらのニキビは、赤み・色素沈着・クレーター状の瘢痕(ニキビ跡)やしこりを残しやすく、治療の遅れが将来的な美容的ダメージにつながることもあります。

診断
顔や胸、背中などで、毛穴を中心とする少し盛り上がったプツプツがあれば白ニキビ、黒ニキビと診断できます。化膿して赤くなり膿をもったものは赤ニキビです。
スキンケア
どんな病気にも言えますが、ニキビも予防が大事です。具体的には以下のことをこころがけましょう。
・洗顔は朝晩2回、泡立てた洗顔料でやさしく洗い、絶対にこすらない
・洗顔後は保湿を行い、皮膚バリアを整える
・ノンコメドジェニック・オイルフリーの化粧品を選ぶ(毛穴を詰まらせないもの)
・髪の毛、マスク、手が皮膚に触れる時間を減らす(摩擦や蒸れが悪化因子になるため)
こうしたスキンケアを“地味だけど確実に継続“することが、薬の効果を最大化し、再発予防にもつながります。
保険診療による治療
ニキビには慌てて治療しなくてもよいニキビと、ちょっと急いで治療しなければいけないニキビの二つがあります。急いで治療が必要なニキビは、赤ニキビです。放置しておくと、赤い跡、黒い跡、クレーターなどのニキビ跡(あと)になってしまう可能性が大きいからです。いわゆる白ニキビ・黒ニキビはそれほど緊急性がありません。しかし、見た目の問題や赤ニキビへの進行の予防などの意味合いから、治療が望ましいです。
治療には保険診療と自費治療があります。まずは保険診療を行います。医学的に十分な根拠(エビデンス)があり、費用的にも経済的な保険診療がまずはファーストチョイスです。多くのニキビは保険診療だけで十分治療が可能です。しかし、特に重症ニキビやニキビ跡では自費治療が必要な場合があります。患者さまの肌質やニキビの状態に合った治療の組み合わせが大切です。
外用薬(塗り薬)
ベピオ(過酸化ベンゾイル)
ゲル・ローション・ウォッシュゲル(過酸化ベンゾイル)の3種類があります。殺菌と角質除去の両方の作用を持ち、炎症ニキビに有効。最近ベピオウォッシュゲルが処方可能になりました。入浴10分前に顔や体に外用してお風呂で洗い落とす方法です。
ディフェリンゲル(アダパレン)
毛穴の詰まりを防ぐことで、白ニキビ・黒ニキビの予防に効果的です。妊娠・授乳中は使用できません。
エピデュオゲル
ベピオとディフェリンの合剤で、炎症(赤ニキビ)+面皰(白ニキビ・黒ニキビ)を同時に治療します。妊娠・授乳中は使用できません。
デュアックゲル
ベピオと抗菌薬ダラシン成分を合わせ、炎症を抑える強力な治療です。赤ニキビが消失したら、抗生剤が配合されているためベピオなどに変更する必要があります。
副作用の種類と対策
上記の外用薬はいずれも副作用に皮膚の刺激反応やカブレ(接触性皮膚炎)があります。またベピオ、エピデュオ、デュアックは漂白作用があり、色物の服や寝具に付着しないような工夫が必要です。
製剤名 | 刺激反応の頻度 | 接触性皮膚炎の頻度 |
ディフェリン | ★★★☆☆(中等度) | ★☆☆☆☆(まれ) |
ベピオゲル | ★★★☆☆(中等度) | ★★☆☆☆(ややあり) |
ベピオローション | ★★☆☆☆(軽度) | ★★☆☆☆(ややあり) |
ベピウォッシュ | ★☆☆☆☆(ごく軽度) | ★☆☆☆☆(かなりまれ) |
エピデュオ | ★★★★☆(高頻度) | ★★☆☆☆(ややあり) |
デュアック | ★★★☆☆(中等度) | ★★☆☆☆(ややあり) |
- 刺激反応への対策
刺激反応は最初みられても使用してゆくうちに1か月ほどで慣れてくることが多いです。そのため刺激があるからといってすぐに止めないことが大切です。まず外用開始の初期は米粒程度のわずかな量を額(Tゾーン)などの狭い範囲に外用して、徐々に広い面積に広げていきます。1日おきや週2~3回から始めてもよいです。ヒルドイドローションなどの保湿を併用するのもよいです。ベピオウォッシュゲルは10分で洗い落とす(ショートコンタクトセラピー)ため、比較的刺激が少ないと思われます。 - 接触性皮膚炎への対策
刺激反応と異なり、発赤、かゆみ、ただれなどの症状が強いため使用はできません。 - 脱色作用への対策
ベピオ、エピデュオ、デュアックは脱色作用があります。不思議と髪の毛は脱色されにくいですが、衣類は注意が必要です。寝具やパジャマは白物を使うとよいでしょう。ベピオウォッシュゲルは10分しか外用しないので、衣類に付着することを十分避けることができます。
抗菌外用薬
ダラシン・アクアチム・ゼビアックス等があります。
抗生物質でニキビ菌を減らし、赤ニキビを鎮めます。ゼビアックスとベピオ・エピデュオは同時に外用すると効果が若干減少する可能性があります。理想はゼビアックスを朝、その他を夜に塗ることですが、夜まとめて塗ってしまうほうが「楽」なため、同時に塗る場合もあります。
イオウカンフルローション
毛穴の詰まりを取り除きます。ニキビダニにも効果があります。
内服薬(飲み薬)
抗生物質
ミノマイシン、ビブラマイシン、ルリッド、ファロムなどがあります。毛包に潜むニキビ菌を抑えます。大きな効果と即効性が特徴。
漢方薬
十味敗毒湯・荊芥連翹湯・清上防風湯などがあります。皮膚の炎症体質・皮脂過多・月経不順が背景にある方にも効果的
ビタミン剤
ビタミンC、B2、B6など。シナール錠、ピドキサール、フラビタン、ビフロキシンなど。
ビタミンBは皮脂バランスを整え、ビタミンCは色素沈着を予防&治療。
注射
ケナコルト注射
ステロイド局所注射の局所注射です。
嚢腫や結節に直接注射し、腫れやしこりを速やかに縮小。効果は大きい。
軽症〜中等症までは保険治療で十分に対応可能ですが、保険診療を行っても十分な効果のない重症ニキビや再発を繰り返すタイプには自費診療も検討します。
自費診療による治療
保険診療は多くのニキビに効果的ですが、以下のようなケースでは自由診療の併用が望ましいことがあります。
・抗生物質や外用薬では改善が不十分
・抗生物質を中止するとすぐに再発する
・ニキビが繰り返し膿み、炎症を起こし、跡が残りやすい
・皮脂分泌が非常に多く、根本から治療したい
・治療のスピードや美容面の回復を重視したい
そこで、当院では医学的な根拠に基づいた多角的な自費治療をご提案しています。
軽症ニキビから使用できる自費外用
アゼライン酸(AZA)配合外用
製品名:ロートAZAクリア(15g)/税込1,980円
【アゼライン酸の一般的作用】角質異常を改善し、アクネ菌の増殖を抑える。炎症による色素沈着を予防。
【対象】妊娠中・授乳中・小児でも使用可能な安全性の高い外用
イベルメクチン外用
10g/税込2,200円
【作用】ニキビダニ(デモデックス)に対して効果があり、炎症を軽減
【対象】大人ニキビ・赤ら顔タイプ・皮膚のザラつきが気になる方
セルニューGAローション(グリコール酸化粧水)
税込3,300円
【作用】角質除去により毛穴の詰まりを防ぎ、保湿と美白も同時にケア
【特徴】ホームピーリングに適しています。朝晩のスキンケアに使用可能
ポードレーヴローション(高性能ビタミンC化粧水)
税込6,980円
以下の3種類のビタミンC誘導体を配合しており、ニキビ、ニキビ跡の色素沈着、毛穴の目立ちにくさをサポートします。院長の知り合いである竹井賢二郎医師監修のもと開発されたスキンケアブランドです。
両親媒性ビタミンC(APPS)
ペプチドビタミンC誘導体(ペンタイドC)
水溶性ビタミンC(グリセリルアスコルビン酸)
スキンピールバー
グリコール酸・ビタミンA誘導体含有石鹸です。税込2,750円
洗顔のたびにピーリングが可能
黒ずみ・くすみ・毛穴の汚れにも効果的
軽症ニキビからできるお気軽治療
LED照射治療
1回 税込2,200円/学割1,650円
波長630nmの赤色LEDは、炎症を鎮めたり、組織修復を促進する作用があります。
赤ニキビの赤みや腫れを改善する目的で使用され、青色LEDと組み合わせてアクネ菌の殺菌と炎症の抑制を期待できます。ダウンタイムなし。

ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール)
古い角質や毛穴の詰まりを安全に除去し、外用薬の効果を高める
角質肥厚が目立つ人や、外用薬が浸透しづらい人に特に有効
※ケミカルピーリングの治療内容と価格は下記ページでも詳しく解説しています⇓
こちらをクリック!!
中等症~重症のニキビ治療
通常の保険診療を行っていても次々とニキビが出る、シコリが所々にある、膿をもったニキビがたくさんある。このような場合は、重症ニキビの可能性があります。当院ではレーザー&ミカルピーリング、イソトレチノイン内服など、重症ニキビに非常に大きな効果のある自費治療をご提案しております。
・レーザーフェイシャル(+ケミカルピーリング)
・イソトレチノイン内服
レーザーフェイシャル ― ニキビ・毛穴・うぶ毛(ひげ)をまとめて改善
適応となるお悩み
・中等症以上のニキビ
・繰り返すニキビ
・ニキビ跡の色素沈着(ピーリング)、赤み
・毛穴の開き、皮脂過多
・うぶ毛(産毛)が目立つ方、脱毛したい方
使用機器と治療のしくみ
当院では、ロングパルスアレキサンドライトレーザー(波長755nm)を使用しています。皮膚の深い部分までエネルギーが届き、以下のような複数の効果をもたらす可能性があります。
効果 | 内容 |
熱によるアクネ菌殺菌 | 毛包内のアクネ菌を減少させ、炎症ニキビを抑制 |
皮脂腺への熱ダメージ | 皮脂分泌を抑える |
毛細血管への作用 | 炎症後紅斑(ニキビ跡の赤み)を改善 |
産毛への脱毛効果 | 口周りや頬の産毛(ヒゲ)を減らし、毛包炎を予防 |
真皮のコラーゲン再構築 | 毛穴を引き締め、肌質をなめらかに改善 |
治療スケジュールと回数 | 1か月ごとに1回の施術を、5〜6回継続することで効果が実感できます。 ピーリングを併用することで、相乗効果が期待されます。 |
費用(税込)
プラン | 単発 | 3回コース | 6回コース |
レーザーフェイシャルのみ | ¥16,500 | ¥33,000(@¥11,000) | ¥60,500(@¥10,080) |
レーザー+ケミカルピーリング | ¥20,400 | ¥49,500(@¥16,500) | ¥92,400(@¥15,400) |
男性のヒゲ脱毛効果を活かした治療
両頬照射(ヒゲ脱毛+ニキビ治療):¥11,000(税込)
※ヒゲを残したい方は施術不可
※ピーリング併用をご希望の方は別途ご相談ください
※男性の詳しい料金はこちらをクリック!!
ダウンタイムと注意点
軽度の赤みや熱感が出ることがありますが、通常は数時間〜1日で消退します。 日焼けは厳禁です。施術後はUVケアを徹底してください。
イソトレチノイン内服―― ニキビ、毛穴をまとめて改善
どんな治療?ビタミンA誘導体の内服薬です。
欧米では標準治療としてニキビや酒さに使われており、日本でも自費治療として広まりつつあります。難治性のニキビや毛穴の開きに対して大きな効果が期待できます。ただし、皮膚や唇の乾燥、妊娠中は内服不可などの注意点があります。
効果
・皮脂腺からの皮脂分泌を抑える
・毛穴の角化異常を正常化
・炎症を抑えることでニキビ跡予防にも効果
費用(税込)
薬剤費 | |
10mg 30日分 | ¥16,500 |
20mg 30日分 | ¥22,000 |
検査費(男女とも1回)
¥2,200(女性:血液+妊娠検査/男性:血液検査) |
※男女問わず服薬中及び服薬前後1か月の避妊が必要です。
イソトレチノインについて詳しくはこちらをクリックしてください。
まずはご相談ください
ニキビは保険診療でおおむね治療が可能です。まずは、スキンケアを着実に行い、適切な保険診療を受けましょう。しかし、繰り返すしつこいニキビや重症ニキビは、保険診療だけでは十分な効果が得られないこともあります。そして、ニキビが長引くほど、ニキビ跡が残るリスクも高まります。当院では、皮膚科専門医の知識と経験を活かし、患者様に保険診療、自費診療ともに最適な治療をご提案いたします。お悩みの方は、学生さん、保護者様、妊娠授乳中の方も含めて、どうぞお気軽にご相談ください。
イソトレチノインに関する注意事項
(未承認医薬品等)この治療で使用される薬剤は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。
(入手経路等)当院で使用しているイソトレチノインは、医師が個人輸入しています。
(国内の承認医薬品の有無)イソトレチノインは、国内においては承認されていません。また類似効果を持った医薬品も国内では承認されていません。
(諸外国における安全性等に係わる情報)米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱などの精神疾患、肝機能異常、高脂血症などの副作用も報告されています。
(医薬品副作用被害救済制度について)万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。タイルを心がけましょう。