手荒れ(手湿疹)
どんな病気?
手荒れは別名「進行性指掌角皮症」とも言われています。もともとアトピー性皮膚炎などの手荒れになりやすい体質、外部からの刺激に弱い体質の方に多く見られます。
頻回の手洗い、手の消毒、水仕事などの刺激が加わって、健康な手の皮膚のバリアーが壊れて、さらに色んな刺激が加わり手荒れが悪くなってしまいます。環境物質によるアレルギーが原因のこともあります。
特に主婦(赤ちゃんがみえると特に!)、介護職、看護師、美容師、飲食業、金融機関、SEなどの職業の方に目立ちます。よく使う方の手に多くみられ、右利きであれば、右の手の親指、人差し指、中指に始まり、次第に両方の手のひら全体に広がることもあります。手がカサカサし、赤くなり、ひび割れや水疱・ジュクジュクを伴い、痛痒くなることもあります。一般的に冬に悪化し、夏は改善することが多く見られます。
※2020年2月以降は新型コロナウイルス対策としての手の消毒や頻回の手洗いによって手荒れが悪化するケースもあります。
診断
利き手のカサカサ、発赤、ひび割れ、小水疱、痒みなどで診断します。
手荒れと間違いやすい手の病気がいくつかあります。正確な診断が必要です。
治療
- 手にハンドクリーム(保険適応のヒルドイドなど)を手洗いのたびに外用して手の皮膚を保護します。
- ステロイドの外用、抗ヒスタミン剤の内服を行います。
- ひび割れには、ステロイド含有テープや外用薬のODT(密封治療)を行います。
光線治療
- かゆみ、分厚いかさつき、ひびわれなどの症状がひどい場合は、紫外線による光線治療を行うと症状が改善することがあります。当院ではエキシマライト、ナローバンドUVBを使用しています。保険適応で1回1,000円程度です。
エキシマライト(ナローバンドUVB)
全身型ナローバンドUVB
手のスキンケア
- 手を洗うたびにハンドクリーム(保険適応のヒルドイドなど)を塗りましょう。
- 水仕事の時は手袋をしましょう。
- 寝る前に綿の手袋をするとしっとりします。
- 素手の場合は、お湯ではなく水を使いましょう。
※美容師・看護師・介護職などの方は、肌に優しいゴム手袋を使いましょう。
手荒れが治りにくい場合の検査
- パッチテスト
ゴム手袋(硬化剤など)、染毛剤(パラフェニレンジアミンなど)の環境物質を調べます。(保険適応)。
※当院ではラテックスアレルギーは、採血(粗抗原、Hev b 6.02のIgE抗体)にて検査を行っています。保険適応。 - 金属パッチテスト
全身性金属アレルギーといって、歯の詰め物や食物(大豆など豆類、チョコレートなど)に含まれる金属が、腸管から吸収されたあと、手足に湿疹を引き起こすことがあります。金属パッチテストは保険適応。 - ほかの間違いやすい病気との区別
汗疱(異汗性湿疹)、掌蹠膿疱症、手水虫、疥癬(ダニ)、尋常性乾癬、膠原病、梅毒など。
視診、触診、顕微鏡検査、生検、採血などにて総合的に診断を行います。
湿疹
どんな病気?
簡単にお話をすると、「原因不明、病名不明のかゆい皮膚病全て」を湿疹といいます。湿疹でも特に特徴的な発疹の形を示すものには、それぞれ病名がついています。脂漏性湿疹(皮膚炎)、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎など。
診断
まず本当に湿疹以外の病気ではないか診断する事が大切です。小さい発疹(水疱、プツプツ、膿を持ったプツプツ、皮むけ)が存在し、その発疹のいくつかが出たり引いたりして、痒みを伴っている状態で診断します。
治療
主に副腎皮質ホルモンの外用薬を使用します。湿疹の状態によっては内服薬、それぞれの状態にあった他の外用薬を使用することもあります。
日常生活の注意点
- 掻かないこと、日光を避けること、お風呂でこすらないことなど。