「ニキビはそのうち治る」――それ、本当ですか?
昔は「ニキビくらい放っておいても大丈夫」と言われることもありました。しかし現代の皮膚科学では、重症ニキビは放置すべきでない炎症性疾患として捉えられています。治療しても次々にできるニキビ、赤く腫れて痛むしこり、治っても残るニキビ跡…。それは単なるニキビではなく、「重症ニキビ」という病態に進行している可能性があります。

重症ニキビとはどんな状態?
医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれるニキビには、軽症から重症までさまざまな段階があります。重症ニキビは、皮膚の深部まで炎症が及ぶタイプのニキビを指し、自然に改善することは困難です。
次のような症状がある場合は、重症ニキビに該当します。
- 膿疱(のうほう):膿を持った赤く腫れたニキビが繰り返し多数できる
- 結節(けっせつ):皮膚の深い部分に硬く触れるしこりができる
- 嚢腫(のうしゅ):ぷよぷよとした柔らかいしこりが皮膚の下にできる
- 集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう):ニキビが密集し、炎症が範囲的に広がっている状態
これらのニキビは、赤み・色素沈着・クレーター状の瘢痕(ニキビ跡)やしこりを残しやすく、治療の遅れが将来的な美容的ダメージにつながることもあります。
毎日のスキンケア ― 治療の土台です
ニキビ治療の効果を最大限に高めるには、薬だけでなく正しいスキンケアの継続が欠かせません。
- 洗顔は朝晩2回、泡立てた洗顔料でやさしく洗い、絶対にこすらない
- 洗顔後は保湿を行い、皮膚バリアを整える
- ノンコメドジェニック・オイルフリーの化粧品を選ぶ(毛穴を詰まらせないもの)
- 髪の毛、マスク、手が皮膚に触れる時間を減らす(摩擦や蒸れが悪化因子になるため)
こうしたスキンケアを“地味だけど確実に継続“することが、薬の効果を最大化し、再発予防にもつながります。

まずは保険診療から
医学的に十分な根拠(エビデンス)があり、費用的にも経済的な保険診療がまずはファーストチョイスです。多くのニキビは保険診療だけで十分治療が可能です。当院では、以下の治療を保険適用で行っています。
当院で行う保険診療の内容
外用薬(塗り薬)
- ベピオゲル・ローション(過酸化ベンゾイル)
殺菌と角質除去の両方の作用を持ち、炎症ニキビに有効 - ディフェリンゲル(アダパレン)
毛穴の詰まりを防ぐことで、白ニキビ・黒ニキビの予防に効果的 - エピデュオゲル
ベピオとディフェリンの合剤で、炎症(赤ニキビ)+面皰(白ニキビ・黒ニキビ)を同時に治療 - デュアックゲル
ベピオと抗菌薬ダラシン成分を合わせ、炎症を抑える強力な治療 - 抗菌外用薬(ダラシン・アクアチム・ゼビアックス等)
抗生物質でニキビ菌を減らし、赤ニキビを鎮める
内服薬(飲み薬)
- 抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシン、ルリッド、ファロムなど)
毛包に潜むニキビ菌を抑える。大きな効果と即効性が特徴。 - 漢方薬(十味敗毒湯・荊芥連翹湯・清上防風湯など)
皮膚の炎症体質・皮脂過多・月経不順が背景にある方にも効果的 - ビタミン剤(C、B2、B6)
シナール錠など。ビタミンBは皮脂バランスを整え、ビタミンCは色素沈着を予防&治療。
注射
- ケナコルト注射(ステロイド局所注射)
嚢腫や結節に直接注射し、腫れやしこりを速やかに縮小。効果は大きい。
軽症〜中等症までは保険治療で十分に対応可能ですが、保険診療を行っても十分な効果のない重症ニキビや再発を繰り返すタイプには自費診療も検討します。
自費診療
保険診療は多くのニキビに効果的ですが、以下のようなケースでは自由診療の併用が望ましいことがあります。
- 抗生物質や外用薬では改善が不十分
- 抗生物質を中止するとすぐに再発する
- ニキビが繰り返し膿み、炎症を起こし、跡が残りやすい
- 皮脂分泌が非常に多く、根本から治療したい
- 治療のスピードや美容面の回復を重視したい
そこで、当院では医学的な根拠に基づいた多角的な自費治療をご提案しています。
軽症ニキビから使用できる外用
アゼライン酸(AZA)配合外用
製品名:ロートAZAクリア(15g)/税込1,980円
- 【アゼライン酸の一般的作用】角質異常を改善し、アクネ菌の増殖を抑える。炎症による色素沈着を予防。
- 【対象】妊娠中・授乳中・小児でも使用可能な安全性の高い外用
イベルメクチン外用
10g/税込2,200円
- 【作用】ニキビダニ(デモデックス)に対して効果があり、炎症を軽減
- 【対象】大人ニキビ・赤ら顔タイプ・皮膚のザラつきが気になる方
セルニューGAローション(グリコール酸化粧水)
税込3,300円
- 【作用】角質除去により毛穴の詰まりを防ぎ、保湿と美白も同時にケア
- 【特徴】ホームピーリングに適しています。朝晩のスキンケアに使用可能
ポードレーヴローション(高性能ビタミンC化粧水)
税込6,980円
以下の3種類のビタミンC誘導体を配合しており、ニキビ、ニキビ跡の色素沈着、毛穴の目立ちにくさをサポートします。院長の知り合いである竹井賢二郎医師監修のもと開発されたスキンケアブランドです。
両親媒性ビタミンC(APPS)
ペプチドビタミンC誘導体(ペンタイドC)
水溶性ビタミンC(グリセリルアスコルビン酸)
スキンピールバー赤(グリコール酸・ビタミンA誘導体含有石鹸)
税込2,750円
- 洗顔のたびにピーリングが可能
- 黒ずみ・くすみ・毛穴の汚れにも効果的
軽症ニキビからできるお気軽治療
LED照射治療(1回 税込2,200円/学割1,650円)
- 波長630nmの赤色LEDは、炎症を鎮めたり、組織修復を促進する作用があります。
- 赤ニキビの赤みや腫れを改善する目的で使用され、青色LEDと組み合わせてアクネ菌の殺菌と炎症の抑制を期待できます。
- ダウンタイムなし。
ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール)
- 古い角質や毛穴の詰まりを安全に除去し、外用薬の効果を高める
- 角質肥厚が目立つ人や、外用薬が浸透しづらい人に特に有効
※ケミカルピーリングの治療内容と価格は下記ページでも詳しく解説しています⇓
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中等症~重症のニキビ治療
- レーザーフェイシャル(+ケミカルピーリング)
- イソトレチノイン内服
レーザーフェイシャル ― ニキビ・毛穴・うぶ毛(ひげ)をまとめて改善
適応となるお悩み
- 中等症以上のニキビ
- 繰り返すニキビ
- ニキビ跡の色素沈着(ピーリング)、赤み
- 毛穴の開き、皮脂過多
- うぶ毛(産毛)が目立つ方、脱毛したい方
使用機器と治療のしくみ
当院では、ロングパルスアレキサンドライトレーザー(波長755nm)を使用しています。皮膚の深い部分までエネルギーが届き、以下のような複数の効果をもたらす可能性があります。
効果 | 内容 |
熱によるアクネ菌殺菌 | 毛包内のアクネ菌を減少させ、炎症ニキビを抑制 |
皮脂腺への熱ダメージ | 皮脂分泌を抑える |
毛細血管への作用 | 炎症後紅斑(ニキビ跡の赤み)を改善 |
産毛への脱毛効果 | 口周りや頬の産毛(ヒゲ)を減らし、毛包炎を予防 |
真皮のコラーゲン再構築 | 毛穴を引き締め、肌質をなめらかに改善 |
治療スケジュールと回数
- 1か月ごとに1回の施術を、5〜6回継続することで効果が実感できます。
- ピーリングを併用することで、相乗効果が期待されます。
費用(税込)
プラン | 単発 | 3回コース | 6回コース |
レーザーフェイシャルのみ | ¥16,500 | ¥33,000 (@¥11,000) | ¥60,500 (@¥10,080) |
レーザー+ケミカルピーリング | ¥20,400 | ¥49,500 (@¥16,500) | ¥92,400 (@¥15,400) |
男性のヒゲ脱毛効果を活かした治療
両頬照射(ヒゲ脱毛+ニキビ治療):¥11,000(税込)
※ヒゲを残したい方は施術不可
※ピーリング併用をご希望の方は別途ご相談ください
※男性の詳しい料金はこちら⇓
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ダウンタイムと注意点
- 軽度の赤みや熱感が出ることがありますが、通常は数時間〜1日で消退します。
- 日焼けは厳禁です。施術後はUVケアを徹底してください。
イソトレチノイン内服―― ニキビ、毛穴をまとめて改善
どんな治療?
ビタミンA誘導体の内服薬です。
欧米では標準治療としてニキビや酒さに使われており、日本でも自費治療として広まりつつあります。難治性のニキビや毛穴の開きに対して大きな効果が期待できます。ただし、皮膚や唇の乾燥、妊娠中は内服不可などの注意点があります。
効果
- 皮脂腺からの皮脂分泌を抑える
- 毛穴の角化異常を正常化
- 炎症を抑えることでニキビ跡予防にも効果
費用(税込)
- 薬剤費
10mg 30日分 ¥16,500
20mg 30日分 ¥22,000 - 検査費(男女とも1回)
¥2,200(女性:血液+妊娠検査/男性:血液検査)
※男女問わず服薬中及び服薬前後1か月の避妊が必要です。
イソトレチノインについて詳しくはこちらをクリックしてください。
まずはご相談ください
ニキビは保険診療でおおむね治療が可能です。まずは、スキンケアを着実に行い、適切な保険診療を受けましょう。しかし、繰り返すしつこいニキビや重症ニキビは、保険診療だけでは十分な効果が得られないこともあります。そして、ニキビが長引くほど、ニキビ跡が残るリスクも高まります。当院では、皮膚科専門医の知識と経験を活かし、患者様に保険診療、自費診療ともに最適な治療をご提案いたします。お悩みの方は、学生さん、保護者様、妊娠授乳中の方も含めて、どうぞお気軽にご相談ください。

イソトレチノインに関する注意事項
(未承認医薬品等)この治療で使用される薬剤は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。
(入手経路等)当院で使用しているイソトレチノインは、医師が個人輸入しています。
(国内の承認医薬品の有無)イソトレチノインは、国内においては承認されていません。また類似効果を持った医薬品も国内では承認されていません。
(諸外国における安全性等に係わる情報)米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱などの精神疾患、肝機能異常、高脂血症などの副作用も報告されています。
(医薬品副作用被害救済制度について)万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。