イソトレチノイン内服(ニキビ、毛穴)
どんな薬?
ビタミンA誘導体の内服薬で、欧米では以前よりニキビや酒さの治療に用いられています。通常の内服や外用、スキンケアなどで治りにくいニキビや毛穴の内服薬です。大きな効果が期待できる反面、皮膚や唇の乾燥や妊娠中に内服できないなどの注意点があります。
効果
- 皮脂腺から皮脂の分泌を抑える:
皮脂腺を小さくさせることにより、重症のニキビや毛穴の開きに非常に大きな効果を発揮します。 - 毛穴の角化異常を整える:
ニキビ、毛穴の開き、毛穴の黒ずみに効果を発揮します。 - 炎症を抑える:
ニキビやニキビ跡の予防に効果を発揮します。
通常のニキビ治療との比較
メリット
- 通常の治療で改善が難しい重症ニキビ、繰り返すニキビ、黒ニキビに効果があります。
- 内服終了後もニキビの再発予防効果がしばらく続きます。
- 毛穴の開き、毛穴の黒ずみ、オイリースキンの改善など美容的な効果があります。
デメリット
- 保険外で自費治療です。
- 妊娠中や妊娠予定の方は内服できません。
- 皮膚や唇の乾燥などの副作用があります。
内服が薦められる方
- 通常の治療でもニキビが十分に改善しない、または再発を繰り返す場合
- 黒ニキビ、毛穴の開き、毛穴の黒ずみなどが気になる場合
内服法
- 1日0.3~0.5mg(最大で1㎎)/kgを目安に、1日1~2回に分けて食後に内服します。
- 治療期間は6か月を目安にしますが、状態によって短縮または延期の場合があります。
- 処方は初回1か月分以下、2回目以降1~2か月分の目安で行います。
効果
- 効果は非常に高いです。
- 内服開始の初期は一時的にニキビが悪化する場合があります。
- 効果は2~3か月以降に現れますが個人差があります。
- 内服終了後も効果はしばらく持続しますが、再発はあり得ます。
- 総内服量が一定量ではないと再発しやすくなる可能性がありますので、治療を中断しないことが大切です。
費用
診察料
処方や検査が発生する場合は無料。処方が無く相談のみは500円。
薬剤費
10㎎ 30日分 16,500円(税込)
20㎎ 30日分 22,000円(税込)
検査費
男女とも1回2,200円(税込)
女性 血液検査+妊娠検査(尿)
男性 血液検査
※妊娠検査は原則毎回。更に内服終了して1か月後も必要です。妊娠検査は無料で行っていますが、妊娠検査のみで処方が無い場合は1,100円(税込)別途発生します。
※血液検査は初回と1か月後必須、それ以降はおおむね2か月毎(医師の判断となります)。
※検査を受けないで処方はできません。
内服できない方
- 妊娠中の方、妊娠予定の方
- うつ病や精神疾患の方
- 献血予定の方
- 授乳中の方
- 15歳以下(当院の基準)※成長期の方は骨の成長抑制の可能性。
- テトラサイクリン系(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)の抗生剤内服中の方
- ピーナッツ、大豆アレルギーの方
- 心臓病、肝臓病の方
- 高脂血症の方
- ビタミンA製剤内服中の方
副作用
- 妊娠中または内服終了1か月以内の妊娠にて赤ちゃんに深刻な害を及ぼす可能性(重要)
- 皮膚、粘膜(唇、のど、目など)の乾燥
- 肝機能異常
- 高脂血症
- 鬱などの精神疾患の悪化(近年は関係性は低いと言われている)
- 頭痛、吐き気、嘔吐、のどの渇き、鼻出血、ドライアイ、筋肉痛、関節痛、骨痛、脱毛(一時的)
- 視力障害(夜間など)、テトラサイクリン系の内服で頭痛、血糖上昇、日光過敏、血球異常、検尿異常、アナフィラキシーショック、大腸の炎症(潰瘍性大腸炎、クローン病)など
妊娠に関する注意点
胎児に大きな障害をもたらす可能性があるため、男女ともに、内服中はもちろん、内服終了後も最低1か月、できれば3か月は避妊が絶対必要です。内服開始1か月前~内服終了後1か月以内の性行為は、ピル内服+コンドーム着用などの2種類以上の避妊対応を行う必要があります。
注意事項
未承認医薬品等
この治療で使用される薬剤は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。
入手経路等
当院で使用しているイソトレチノインは、医師が個人輸入しています。
国内の承認医薬品の有無
イソトレチノインは、国内においては承認されていません。また類似効果を持った医薬品も国内では承認されていません。
諸外国における安全性等に係わる情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱などの精神疾患、肝機能異常、高脂血症などの副作用も報告されています。
医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。