はじめに、この数年で小児のアトピー性皮膚炎の新しい薬剤が次々と処方できるようになりました。
- 外用:新しい非ステロイド外用(コレクチム、モイゼルト、ブイタマー)
- 注射:大きな効果のある生物学的製剤(デュピクセント、アドトラーザ、イブグリース、ミチーガ)
- 内服:大きな効果のあるJAK阻害薬内服(リンヴォック、オルミエント、サイバインコ)
非ステロイドの代表であったプロトピック(タクロリムス)で刺激があったお子様も他の選択肢ができましたし、従来の治療で病状が思わしくなかった重いアトピー性皮膚炎のお子様にも新しい薬剤にて劇的な効果が期待できるようになりました。ステロイドをしっかり塗ってもボリボリと夜間かきむしり、なかなかよくらなかったお子様が、注射を開始したとたん本当に「あっという間」にかゆみや発疹が消えてしまうことを目の当たりにすると、そのうちアトピー性皮膚炎は世の中から消えてしまうのではないかと夢想するくらいです。当院では、従来の薬剤やスキンケアを主体にしつつ、これらの新しい薬剤も適切に使用して大きな効果を上げております。

外用剤
外用剤の特徴
外用剤はアトピー性皮膚炎の基本中の基本です。悪い部分だけに塗って、薬剤の体への吸収を最低限にできますので、まさに理想の形のお薬です。今までステロイド外用が非常に大きな効果があり外用の主体でしたが、最近新しい非ステロイド外用が登場しており、細やかな治療がしやすくなりました。

ステロイド外用
<どんな薬?>
とても有用性が高いアトピー性皮膚炎の基本的な治療薬です。また60年以上の使用実績もあり安全性や効能が十分わかっていますので、そういった意味でも使いやすい薬剤です。今までも、そして今後も、アトピー性皮膚炎の外用治療のゴールドスタンダードだといえます。
<効果>
弱いものから強いものまでありますが、適切な選択と使い方をすれば、安全に、極めて大きな効果が期待できます。
<使用法>
1日2回たっぷりと、こすらず優しく塗ります。感覚的には「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。より詳しく言いますと、人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)にて、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗るのが目安です。
<副作用>
乳幼児の使用ではあまりみられませんが、顔面に長期間ぬると皮膚が薄くなる、赤くなる、血管が拡張するなど副作用がみられる場合もあります。また、多毛、毛包炎などがみられることもあります。ただ、ステロイド外用を少なくしたり、中止すると回復することが多いです。なお、長期間使用しても副作用がでにくい方もおおぜいいらっしゃいます。
小児プロトピック軟膏(タクロリムス)(2歳以上)
<どんな薬?>
小児プロトピック軟膏はステロイドではない外用剤です。非ステロイド外用としては長年にわたり使用されている非ステロイドの先駆け的なお薬です。小児プロトピック軟膏は体の免疫反応が過剰になっている状態を正常にすることによって、ステロイド外用薬と同じように皮膚の炎症を抑える作用を持っています。小児プロトピック軟膏ではステロイドの副作用の多くが改善されていますが、ヒリヒリする刺激があるのと顔以外への効果がステロイドほど強くない(強さによる)という問題点もあります。分子量(薬剤の粒の大きさ)が822と大きいため、正常な皮膚にはほぼ吸収されませんので、バリアが壊れた病気の皮膚には吸収されて効果を発揮し、良くなってくると吸収されなくなるので「塗りすぎの心配の少ない、メリハリのある薬剤」と言えます。
<効果>
0.03%小児用(2歳~15歳)はステロイドのマイルド(メディアム)~ストロング程度の効果があります。前述のように分子量が大きいため、皮膚に吸収されにくく、顔や首のように薄い皮膚の場合は効果がかなり期待できますが、体幹・四肢・手足のように皮膚が分厚い部分は効果が劣ります。
<副作用>
ステロイドの長期使用に伴う副作用が大幅に軽減されています。例えば、皮膚が薄くなる、多毛になるという副作用はありません。しかし、外用時にヒリヒリした刺激感、ほてり、かゆみなどがしばしばみられます。皮膚炎が改善するに従い、このような刺激症状は軽くなってゆきます。刺激症状が強い場合の対応は
- ステロイド外用で炎症を抑えてから使用する
- 保湿剤を外用してその上に重ねて外用する
- 入浴後などの皮膚がほてっているときは外用しない
- 冷やす
などの対応法があります。他にはにきびなどが時折みられます。なお、プロトピック軟膏外用にて、リンパ腫や皮膚がんが発生しやすくなることはないと考えられています。
<使用法>
小児プロトピック軟膏を1日2回、こすらないで優しくたっぷり患部に外用します。
※外用剤を塗る目安は、感覚的には「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。より詳しく言いますと、人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)にて、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗るのが目安です。
0.03%(小児用)軟膏は2-15歳の小児に使用します。
(参考)1日の外用量の上限
2-5歳(20kg未満) | 2 g |
6-12歳(20-50kg) | 4 -8 g |
13歳以上(50kg以上) | 10 g |
<注意点>
- 皮膚がジュクジュクしている部分、おできやにきび、皮膚以外の部分(口や鼻の中の粘膜)や外陰部には外用しません。
- 塗った患部を長時間、日光にさらさないように注意してください。また、日焼けランプや紫外線ランプも使用を避けてください。
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)(生後6か月以上)
<どんな薬?>
コレクチム軟膏は、小児アトピー性皮膚炎に効果のあるステロイドではない外用剤です。我が国で開発されたアトピー性皮膚炎に対する世界初の外用JAK阻害薬です。ステロイド長期使用でみられる副作用が軽減されると予想され、また同じ非ステロイド外用であるプロトピック軟膏でみられた皮膚刺激感も大幅に軽減しており、非常に使いやすくなりました。今後の軽症~中等症のアトピー性皮膚炎の治療に大きな期待ができそうです。
※ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1,JAK2,JAK3及びTyk2)のキナーゼ活性をすべて阻害することによりアトピー性皮膚炎に関連する種々のサイトカイシグナル伝達を阻害します。免疫細胞及び炎症細胞の活性化を抑制して皮膚の炎症を抑制します。また,そう痒及び皮膚バリア機能関連分子の発現低下を抑制します。
<効果>
コレクチム軟膏0.5%がステロイドのメディアム~ストロングクラス、コレクチム軟膏0.25%がステロイドのミディアムクラスの印象です。
<副作用>
ニキビ、皮膚の刺激感など。コレクチム軟膏では、ステロイド長期使用でみられるいくつかの副作用は大幅に軽減されていると予想されます。また、従来から使用されているプロトピック軟膏でみられた皮膚刺激感が大幅に軽減されており、非常に使用がしやすくなりました。
<使用法>
コレクチム軟膏を1日2回、こすらないで優しくたっぷり患部に外用します。1日10gまで外用できます。6か月以上の小児は0.25%または0.5%を使用します。
※外用剤を塗る目安は、感覚的には「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。より詳しく言いますと、人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)にて、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗るのが目安です。
モイゼルト軟膏(ジファミラスト)(生後3か月以上)
<どんな薬?>
ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害の活性を阻害して炎症を抑えるステロイドではない外用剤です。ステロイド長期使用でみられる副作用が軽減されると予想され、また同じ非ステロイド外用であるプロトピック軟膏でみられた皮膚刺激感も大幅に軽減しており、非常に使いやすくなりました。今後の軽症~中等症のアトピー性皮膚炎の治療に大きな期待ができそうです。
※ジファミラストはホスホジエステラーゼ(PDE)4の活性を阻害します。PDE4は多くの免疫細胞に存在し、cAMPを特異的に分解する働きを持ちます。本作用機序に基づいて、炎症細胞の細胞内cAMP濃度を高め種々のサイトカイン及びケモカインの産生を制御することにより皮膚の炎症を抑制します。
<副作用>
色素沈着、毛包炎など。大きな副作用は少ないと思われます。
<使用法>
モイゼルト軟膏を1日2回、こすらないで優しくたっぷり患部に外用します(※)。生後3か月~14歳の小児のアトピー性皮膚炎の方は0.3%または1%、15歳以上の成人のアトピー性皮膚炎の方は1%の外用剤を適量使用します。
※外用剤を塗る目安は、感覚的には「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。より詳しく言いますと、人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)にて、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗るのが目安です。
<注意点>
皮膚感染部位を避けて使用してください。
ブイタマークリーム(タピナロフ)(12歳以上)
<どんな薬?>
最も新しい非ステロイド外用。1日1回の外用でよいのが非常に特徴的です。アトピー性皮膚炎の外用薬のうち、1日1回でよいとされているものはブイタマーしかありません。また、新しい非ステロイド外用でべとつきが少ないクリームタイプはブイタマーしかありません(クリームが必ずしも外用として推奨できるかは、ケースバイケースですが)。Very strongクラスほどの効果はなさそうですが、効果はかなりありそうな印象です。ただ、かぶれ、毛包炎(ニキビ)、頭痛の副作用が気になるところです。
※ブイタマーは「AhR調整薬」と呼ばれる新しいタイプの外用薬です。この薬の有効成分であるタピナロフは、皮膚の細胞内にある「芳香族炭化水素受容体(AhR)」という受容体に働きかけます。AhRが適切に調整されることで、炎症を悪化させる物質の産生を抑える作用があります。さらに、皮膚のバリア機能を高める作用もあります。
<効果>
非ステロイド外用の中ではかなり効果は期待できそうです。効果発現までは比較的ゆっくりです。
<使用法>
1日1回入浴後または寝る前に患部に優しくたっぷり外用します。
※外用剤を塗る目安は、感覚的には「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。より詳しく言いますと、人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)にて、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗るのが目安です。
<副作用>
かぶれ、毛包炎(ニキビ)、頭痛など。
※ブイタマーはかぶれることが、他の非ステロイド外用より目立つ印象です。
注射剤(生物学的製剤)
新しい注射剤の特徴
中等症以上の方に使用できる生物学的製剤という抗体を利用した治療薬です。極めて大きな効果があるにも関わらず、重篤な副作用がこれといって見当たらず、重症アトピー性皮膚炎の福音ともいえる薬剤です。
全身が真っ赤でぼりぼり夜中に体をひっかいていたお子様が、みるみるツルツル肌になっていくのを目の当たりにすると、毎回、お勧めしてよかったなあと思います。定期的な注射が必要ですが、リンヴォックなどのJAK阻害薬内服に比べて、免疫抑制などの副作用が少なく、レントゲンが不要など、メリットが大きいです。

デュピクセント(デュピルマブ)(生後6か月以上)
<どんな薬?>
極めて大きな効果がある注射剤です。国内で処方可能になって7年以上経過しており(2025年現在)、アトピー性皮膚炎における生物学的製剤の先駆けともいえる薬剤です。
※デュピクセントは 「IL-4」と「IL-13」という物質(サイトカイン)の働きを直接抑えます。これによりアトピー性皮膚炎の皮膚の内部に起きている炎症反応を抑えることによって、かゆみや皮膚症状を大きく改善します。より詳しくは、Th2細胞が産生する「IL-4」と「IL-13」の結合する受容体の「IL-4受容体α(IL-4Rα)」を特異的に阻害する完全ヒト化モノクローナル抗体薬です。
<効果>
初回注射して2週目にはざらざらしていた肌がつるつるになっていたりすることもしばしばあり、非常に大きな効果が期待できます。もちろん全ての方に十分な効果があるわけではありませんが、ステロイド外用中心で症状の思わしくないお子様には一考の価値があります。しかし、顔の改善傾向が弱い印象です。ここがデュピクセントの弱みです。
<副作用>
時に不思議と目が赤くなる(結膜炎)ことがあります。他には単純ヘルペスなどの感染症、頭痛、好酸球上昇などがありえます。ただ大きな副作用は少なく非常に使いやすい薬剤です。
<投与法>
当院にて注射可能ですし、希望の方は自宅で注射することもできます。年齢や体重によって注射する量や間隔が異なります。最初は1~2本接種して、2~4週ごとに1~2本を定期的に接種していきます。継続して接種を続ける場合は、注射剤を薬局にて処方し「ご自宅で注射」を行っていただくこともできます。自宅で注射と聞くと不安に思う方もいらっしゃると思いますが、とても簡単です。医院でしっかりご指導しますね。特に予約は必要ありませんが、火曜終日は注射を行っておりませんのでご注意ください。
年齢層 | 体重区分 | 初回投与量 | 継続投与量と間隔 |
成人(15歳以上) | すべての体重 | 600mg(300mg×2本) | 300mgを2週間ごとに1回投与 |
小児(6ヶ月以上15歳未満) | 60kg以上 | 600mg(300mg×2本) | 300mgを2週間ごとに1回投与 |
30kg以上60kg未満 | 400mg(200mg×2本) | 200mgを2週間ごとに1回投与 | |
15kg以上30kg未満 | 300mg(300mg×1本) | 300mgを4週間ごとに1回投与 | |
5kg以上15kg未満 | 200mg(200mg×1本) | 200mgを4週間ごとに1回投 |
<結節性痒疹への投与>
15歳以上の方では結節性痒疹にもデュピクセントは注射できます。初回600㎎、以降は2週ごとに300㎎の注射をします。
ミチーガ(ネモリズマブ)(6歳以上)
<どんな薬?>
ミチーガはアトピー性皮膚炎のかゆみに対して非常に大きな効果が期待できます。発疹はそこまでひどくないが、かゆみが強い方に向いています。
※かゆみを誘発するIL-31(サイトカイン)の働きを抑えます。詳しくは、IL-31が結合するIL-31RAに対するモノクローナル抗体薬です。
<効果>
かゆみを素早く非常に強力に抑えるのが特徴です。注射した翌日からかゆみが減る患者様もいらっしゃいます。
<副作用>
アトピー性皮膚炎の症状が一時的に悪化する場合があります。他にはヘルペスなどの皮膚感染症、上気道炎など。時に重篤な感染症もあり得ます。
<投与法>
注射は月に1回、クリニックで行います。特に予約は必要ありませんが、火曜終日は注射を行っておりませんのでご注意ください。
年齢層 | 用量 | 投与間隔 |
6歳以上13歳未満の小児 | 30mg | 4週間ごとに1回 |
13歳以上の小児および成人 | 60mg | 4週間ごとに1回 |
<結節性痒疹への投与>
ミチーガは13歳以上の患者様の結節性痒疹にも使用ができます。初回60mg、以降は30㎎を4週ごとに接種します。
アドトラーザ(トラロキヌマブ)(15歳以上)
<どんな薬?>
アドトラーザは、アトピー性皮膚炎に関与するIL-13というサイトカインの働きを抑えるお薬です。IL-13は炎症やバリア機能の低下に関係しており、それをブロックすることで湿疹やかゆみを改善します。デュピクセントと似た仕組みの薬ですが、IL-13に特化しているのが特徴です。
<効果>
アトピー性皮膚炎の発疹やかゆみの非常に大きな改善が期待できます。ステロイド外用薬や保湿剤を併用しながら、皮膚の状態を整えていきます。
<副作用>
結膜炎や注射部位の反応、ヘルペスなどの皮膚感染症、上気道炎などが報告されています。まれに重い感染症が起きることがありますので、症状が気になる際はご相談ください。
<投与法>
2週に1回、クリニックで注射します。安定してくると、ご自身で注射する在宅注射に切り替えることも可能です。初回投与:600mg。継続投与:300mgを2週間ごと。
イブグリース(レブリキズマブ)(12歳以上)
<どんな薬?>
イブグリースもIL-13という炎症物質の働きを抑えるお薬です。アドトラーザと同じくIL-13に特化した抗体薬ですが、投与間隔を2~4週で柔軟に調整できるのが特徴です。お子さまや学生さんなど、生活に合わせた治療がしやすい薬です。
<効果>
アトピー性皮膚炎の赤みやかゆみの改善に極めて大きな効果があります。デュピクセントで十分な効果が出なかったり、副作用が気になった場合に、イブグリースに変更することもあります。
<副作用>
注射部位の赤みや痛み、頭痛、上気道炎などが報告されています。まれに重い感染症やアレルギー反応が出ることもあります。
<投与法>
12歳以上かつ体重40kg以上の方が対象。最初の1か月は2週ごとに2回、その後は2~4週ごとの注射になります。症状に応じて医師が間隔を調整します。注射はクリニックで行います。初回及び2週後に1回500mg。4週以降は1回250mgを2週間隔で注射。状態に応じて、4週以降なら1回250mgを4週間隔でもよい。
内服(JAK阻害薬)
<新しい内服剤の特徴>
JAK阻害剤という内服薬です。内服であるにも関わらず非常に大きな効果が期待できます。2025年5月時点ではリンヴォック、サイバインコ、オルミエントの3種類が保険適応です。種類や投与量によってはデュピクセントなどの生物学的製剤より大きな効果が期待できますが、定期的なレントゲンや採血などの検査が必要なことなどの問題点があります。

リンヴォック錠(ウパダシチニブ水和物)(12歳から)
<どんな薬?>
JAK阻害薬という種類の内服です。特にJAK1を選択的に阻害します。
<効果>
中等症~重症のアトピー性皮膚炎の方に使われ、早期に大きな効果が期待できます。特に30mgの内服では非常に切れ味が良い印象です。
<副作用>
上気道感染、結核、帯状疱疹、単純ヘルペスなどの感染症。ニキビ、胃腸障害、頭痛、血球減少、高脂血症、肝機能障害など。
<投与法>
12歳以上かつ体重30kg以上の小児に使用できます。投与前に採血と胸部レントゲンを撮影します。問題なければ、内服を開始しますが、安全に使用するため定期的に採血と胸部レントゲンを行う必要があります。
15mgを1日1回内服します。状態に応じて30mgを1日1回内服することができます。
※レントゲンと採血は、投与前、投与1か月後、3か月後、6か月後。以降は6か月に1回。
サイバインコ錠(アブロシチニブ)(12歳以上)
<どんな薬?>
JAK阻害薬という種類の内服です。特にJAK1を選択的に阻害します。
<効果>
中等症~重症のアトピー性皮膚炎の方に使われ、早期から大きな効果が期待できます。
<副作用>
上気道感染、単純ヘルペス、帯状疱疹などの感染症。ニキビ、胃腸障害、頭痛、血球減少など。
<投与法>
投与前に採血と胸部レントゲンを撮影します。問題なければ、内服を開始しますが、安全に使用するため定期的に採血と胸部レントゲンを行う必要があります。
12歳以上の小児には、100mgを1日1回内服。状態に応じて200mgを1日1回内服することができる。
※レントゲンと採血は、投与前、投与1か月後、3か月後、6か月後。以降は6か月に1回。
オルミエント錠(バリシチニブ)(2歳以上)
<どんな薬?>
JAK阻害薬という種類の内服です。※JAK1およびJAK2活性を阻害し、STATのリン酸化および活性化を抑制することでシグナル伝達を阻害します。
<効果>
中等症のアトピー性皮膚炎の方に使われ、早期からかなりの効果が期待できます。
<副作用>
上気道感染、単純ヘルペス、帯状疱疹などの感染症。ニキビ、胃腸障害、頭痛、血球減少、肝機能異常、高脂血症など。
<投与法>
2歳以上の方が内服できます。投与前に採血と胸部レントゲンを撮影します。問題なければ、内服を開始しますが、安全に使用するため定期的に採血と胸部レントゲンを行う必要があります。
30kg以上 | 4mg1日1回。状態に応じて2mgに減量。 |
30kg未満 | 2mg1日1回内服。状態に応じて1mgに減量。 |
※レントゲンと採血は、投与前、投与1か月後、3か月後、6か月後。以降は6か月に1回。
終わりに
アトピー性皮膚炎の治療は年々変化しています。特に重症のアトピー性皮膚炎の治療に対してはこの数年で格段の進歩がみられました。今後も新しい薬剤の開発が期待されます。当院では、ステロイド内服、抗アレルギー薬内服、保湿、スキンケアという基本をスタンダードにして、必要に応じてお子様の状態に沿った最も適した新しい治療を提案してゆきます。